INTRODUCTION

ブレンダン・フレイザーが奇跡の復活!
余命わずかな体重272キロの孤独な男が
疎遠だった娘への無償の愛を紡ぐ――
最期の5日間を描く、
壮絶にして心震わすヒューマン・ドラマ
自宅のソファからほとんど動かず、引きこもり生活を送り続けた結果、重度の肥満症となったチャーリー。自らの死期を悟り、疎遠だった娘との絆を取り戻そうとする。さらに、長年押し込めてきたトラウマと向き合うことを決意。心えぐる喪失と絶望、複雑で多くの重荷を抱え断絶せざるをえなかった彼が、心の奥底で信じ続けた願いとは…

鬼才ダーレン・アロノフスキー監督の『マザー!』(17)以来5年ぶりの最新作は2012年に初上演された舞台劇の映画化で、A24が製作、全米配給を手がけた。第79回ヴェネチア国際映画祭における感動的な瞬間が世界中に発信された。それは『ハムナプトラ』シリーズなどでハリウッドのトップスターに昇りつめながらも、心身のバランスを崩して表舞台から遠ざかっていたブレンダン・フレイザーの奇跡的なカムバック劇。本作でフレイザーが演じたのは、体重272キロの孤独な中年男性。離婚後疎遠だった娘との絆を取り戻したいと願う主人公の“最期の5日間”を、ワン・シチュエーションの室内劇という様式で映し出す。生きることについての根源的な問いかけをはらみ、緊迫感みなぎるストーリー展開で観る者を魅了する本作は、アロノフスキー監督作品としては『ブラック・スワン』以来最高の北米オープニング成績を叩き出し、フレイザーの驚嘆すべき演技に多くの絶賛の声が寄せられ、先に発表となったブロードキャスト映画批評家協会賞にて主演男優賞を受賞、さらに全米俳優組合賞(SAG)、英国アカデミー賞(BAFTA)でもノミネートが続き、ついにブレンダンは、アカデミー賞<初>のノミネートを果たした。いよいよ本格化している本年度賞レースの顔として、ますます注目を集めている。

その他に「ストレンジャー・シングス」シリーズのセイディー・シンク、本作でアカデミー賞助演女優賞初ノミネートを見事果たしたホン・チャウ、サマンサ・モートンら豪華俳優陣が脇を固め、未だかつてないほどに心を揺さぶる物語を生み出した。
白鯨
1851年に発表されたアメリカの小説家ハーマン・メルヴィル(1819~1891)による長編小説。世界十大小説の一つと称される。船長のエイハブはかつて“モヴィ・ディック”という名の白いマッコウクジラに片足を奪われている。その白いクジラへの復讐心、さらに乗組員たちとの捕鯨船での壮絶な航海を描いた物語。鯨に関する当時の知識や捕鯨技術の描写などが多く綴られ、さらに旧約聖書や故事などの引用や比喩も用いられている。

STORY

恋人アランを亡くしたショックから、現実逃避するように過食を繰り返してきたチャーリー(ブレンダン・フレイザー)は、大学のオンライン講座で生計を立てている40代の教師。歩行器なしでは移動もままならないチャーリーは頑なに入院を拒み、アランの妹で唯一の親友でもある看護師リズ(ホン・チャウ)に頼っている。そんなある日、病状の悪化で自らの余命が幾ばくもないことを悟ったチャーリーは、離婚して以来長らく音信不通だった17歳の娘エリー(セイディー・シンク)との関係を修復しようと決意する。ところが家にやってきたエリーは、学校生活と家庭で多くのトラブルを抱え、心が荒みきっていた……。

CAST&STAFF

Brendan Fraser
ブレンダン・フレイザー
チャーリー役
Sadie Sink
セイディー・シンク
エリー役
Hong Chau
ホン・チャウ
リズ役
Ty Simpkins
タイ・シンプキンス
トーマス役
Samantha Morton
サマンサ・モートン
メアリー役
DIRECTOR
監督・製作:ダーレン・アロノフスキー
Darren Aronofsky
ブレンダン・フレイザー
チャーリー役
1968年12月3日生まれ、アメリカ・インディアナ州インディアナポリス出身。ヨーロッパやカナダで育ち、ロンドンに引越したのを機に劇場へ足を運ぶようになる。シアトルにある芸術大学で美術学士号を取得した。1991年に『恋のドッグファイト』で映画デビュー。1999年、代表作となるスティーヴン・ソマーズ監督による大ヒットアクション・ホラーアドベンチャー『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』の主演を演じる。2001年には、続編『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』でソマーズと共演者レイチェル・ワイズと再タッグを組んだ。2008年には、シリーズの第3弾、『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』が公開。『センター・オブ・ジ・アース』(08)では主演、製作総指揮を務めるが、その後は、心身のバランスを崩ししばらくの間ハリウッドの表舞台から距離を置く。主な出演作に、『青春の輝き』(92)、『きっと忘れない』(94)、『ハードロック・ハイジャック』(94)、『ゴッド・アンド・モンスター』(98)、『モンキーボーン』(01)、『愛の落日』(02)、『クラッシュ』(04)、『狼たちの報酬』(07)、『インクハート/魔法の声』(08)、『G. I. ジョー』(09)、『アニマル・ウォーズ 森林帝国の逆襲』(10)など。近年は、スティーヴン・ソダーバーグ監督によるHBOMax作品「クライム・ゲーム」(21)、HBOMax/DC Entertainmentのシリーズ番組「ドゥーム・パトロール」(19)、「ポイズン・ローズ」(19)などテレビドラマに出演。
セイディー・シンク
エリー役
2002年4月16日生まれ、アメリカ・テキサス州出身。2013年、ブロードウェイで上演された「アニー」のリバイバル作品でタイトルロールを演じ、キャリアをスタート。2017年にはトニー賞にノミネートされたスティーヴン・ダルドリー演出の「The Audience」でヘレン・ミレンと共演した。2017年には、高い評価を得たNetflixの人気シリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」で、複雑な過去を持った怪しげな少女マックス役で人気となる。現在は、Netflixで同シリーズのシーズン4に出演中のほか、Netflix「フィアー・ストリート Part2」にも出演している。
ホン・チャウ
リズ役
1979年6月25日生まれ。1970年代後半にベトナムを逃れ、タイの難民キャンプに暮らしていたベトナム人の両親のもとに生まれた。その後ニューオーリンズで育ち、ボストン大学で映画学を専攻。役者の道を目指した。2017年『タウンサイズ』でベトナム人の政治活動家役を演じ、ゴールデングローブ賞助演女優賞、映画俳優組合賞助演女優賞など複数の助演女優賞にノミネート、高い評価を得た。主な出演作に、『インヒアレント・ヴァイス』(14)、『24時間ずっとLOVE』(18)、『ザ・メニュー』(22)、『Showing Up』(22)など。現在は、HBOのシリーズ番組「ウォッチメン」と、Amazonのシリーズ作品「ホームカミング」に出演中。
タイ・シンプキンス
トーマス役
2001年8月6日生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。2005年、スティーヴン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』で子役として映画デビュー。18歳になる頃までに、スティーヴン・スピルバーグ、サム・メンデス、ジェームズ・ワン、ポール・ハギス、リード・モラーノ、コリン・トレヴォロウなど、ハリウッド有数の監督らと仕事をし、瞬く間に引く手あまたの映画俳優になった。主な出演作に、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(08)、『スリーデイズ』(10)、『インシディアス』シリーズ(11、13、18)、『アイアンマン3』(13)、『ジュラシック・ワールド』(15)、『ナイスガイズ!』(16)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)など。
サマンサ・モートン
メアリー役
1977年5月13日生まれ、イギリス・ノッティンガム出身。1997年『アンダー・ザ・スキン』で世界中に注目される。アカデミー賞に2度、英国アカデミー賞に2度ノミネートされており、2007年には、NBC/Channel4作品「Longford」で、ゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得した。2009年には、英国の保育制度を扱った半自伝的映画『The Unloved』で映画監督デビューを果たすとともに、英国アカデミー賞テレビ部門の単発ドラマ賞を獲得した。主な出演作に、『ギター弾きの恋』(99)、『マイノリティ・レポート』(02)、『CODE46』(03)、『ミスター・ロンリー』(07)、『コントロール』(07)、『her/世界でひとつの彼女』(13)、『ファンスタティック・ビーストと魔法使いの旅』(16)など。最近の出演作は『Save the Cinema』(22)、『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』(23)がある。
監督・製作:
ダーレン・アロノフスキー
1969年2月12日生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。ハーバード大学でアニメーションや人類学を専攻、さらにAFIアメリカン・フィルム・インスティチュートでは映画製作を学び、美術修士号を取得。卒業制作作品が注目を浴び、1998年に『π』で長編映画デビュー。低予算ながら大ヒットとなりサンダンス映画祭では最優秀監督賞を受賞。2008年『レスラー』は第65回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞する。2010年『ブラック・スワン』は第67回ヴェネチア国際映画祭のオープニングで初演後、各映画賞で話題を集める。アカデミー賞では5部門ノミネートされ、主演のナタリー・ポートマンが主演女優賞を受賞した。その他の主な監督作品は、『レクイエム・フォー・ドリーム』(00)、『ファウンテン 永遠につづく愛』(06)、『ノア 約束の舟』(14)、『マザー!』(17)などがある。

REVIEW

ブレンダン・フレイザーの
人間味溢れる演技に圧倒される
―THE HOLLYWOOD REPORTER
『レスラー』以来の
アロノフスキーの傑作 
―THE PLAYLIST
歴史に残る演技 
―VARIETY
どう考えても素晴らしい傑作 
―AWARDS DAILY
ブレンダン・フレイザー
生涯最高の演技 
―TIMEOUT
チャーリーと、彼の大きく多くの重荷を抱えた心に観客は
引き付けられ、魅了される
―SCREEN DAILY